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活動ブログ

イラク出張報告

2025年03月08日

2025年2月15日〜3月1日の期間で、下釜がイラク・クルディスタン自治区のスレイマニヤ市に出張してきました。科研費研究に関わる考古学資料調査で、今回は金沢大学が中心になって発掘調査を実施している先史時代遺跡シャカル・テペの出土土器を観察し、実測・撮影などデータ化する作業を行いました。

 シャカル・テペ遺跡は、過去数年間の発掘調査で紀元前6400年頃から前3600年頃までの遺物が出土しています。そのうち、メソポタミア地域で都市文明が形成される以前のウバイド期(前5000年前後)と、都市形成期の後期銅石器時代(前3800〜3600年頃)、そしてそれ以降の都市発達期にあたる前期青銅器時代以降(前3000〜2000年頃か)の土器標本を数百点ほど調査してきました。これらは、トルコで調査する初期新石器時代とはまったく異なる時代の産物ですが、都市文明への胎動期にあたる興味深い時代の土器標本です。ロクロによる大量生産という技術革新によって土器というものづくりが、どのように変化していったのか、また他のメソポタミア地域とどういう違いがあるのかを探っています。

スレイマニヤ文化財局の外観 県内で出土した考古標本を収める収蔵庫もある

 滞在中はスレイマニヤ市内の博物館に併設されている文化財局の一室にこもり、約10日間ほど、土器のかけらと格闘する毎日でした。文化財局の局長に招待された昼食では、自慢の羊肉ケバブをいただきました。ふだん食べ慣れたトルコのケバブと見かけは似ていますが、柔らかさもスパイスの味も異質。食文化の違いにも触れることができました。現地では雪が降る日もありましたが、おおむね天候もよく、調査を順調に終え帰国した次第。

昼食のケバブ

今回の成果は、国内外の学会等で研究発表する予定です。