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活動ブログ

古代人は宇宙資源を活用していた!_エジプト1

2021年09月29日

 今年の4月、「大エジプト博物館保存修復センター」へ行ってきました。この修復センターは、現在エジプトで建造中の「大エジプト博物館」の裏手に位置しています。「大エジプト博物館」は、現在ツタンカーメンの黄金のマスクを展示している「エジプト考古学博物館」の老朽化を受け、新たに建設している博物館です。4月にミイラが引っ越しをしたニュースが日本でも流れたように、展示物の移動も始まっています。

現在建造中の大エジプト博物館 壁面にはピラミッドをイメージした三角形が描かれています 

 今回わざわざエジプトまで渡航した目的は、ツタンカーメンの墓から発見された、短剣の分析をすることでした。ツタンカーメンは、今から3300年前の古代エジプトの王様です。今では有名なツタンカーメンですが、発掘当時はその存在を知られていませんでした。そのため、盗掘の影響をほぼ受けていない状態で墓が発見され、数多くの副葬品が見つかったことから「20世紀最大の発見」とも言われています。

一番有名なものは、ツタンカーメンのミイラにかぶせられた黄金のマスクですが、ツタンカーメンの棺には短剣も納められていました。

ツタンカーメンの短剣 大きさは約35センチメートル

 こちらがその短剣です。刃は鉄でできており、持ち手は金や装飾品で飾られています。鞘も金でできている、大変豪華な短剣です。ツタンカーメンの墓からは、刃が金でできた短剣も発見されています。しかし、鉄を生産する技術がなかった古代の人にとって、鉄は金や銀よりも価値が高く、金でできた剣よりもこの鉄でできた剣の方が、当時の人にとって貴重でした。

なぜ、鉄が生産できないのに刃が鉄でできているのでしょう。それは、この刃が鉄隕石からつくられているためです。鉄隕石とは宇宙から地球に落ちてきた小惑星のかけらで、鉄とニッケルの合金です。

まだ鉄が生産できない古代の人は、鉄隕石を天からの贈り物と考えていました。3000年以上前の古代の人が宇宙とこのような繋がりがあったことにロマンを感じませんか。

※エジプト調査において、新型コロナ感染予防のため、PCR検査・定められた期間の隔離等の対策は全て実施しました。

佐竹渉 著