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活動ブログ

3月のカマン訪問

2024年04月14日

トルコ南東部シャンルウルファに位置する新石器時代の12の遺跡群は“Taş Tepeler (石の丘)”と呼ばれおり,地球学研究センターが2022年から調査を行っているハルベトスワン・テペシ遺跡もこの中に含まれています.トルコ航空はこの遺跡群から名前を取り,航空機の1機に”TAŞ TEPELER”と名付けました.羽田空港からアンカラ空港へ向かう途中のイスタンブール空港での乗り継ぎの際,幸運なことにこの”TAŞ TEPELER”に遭遇しました.

トルコ航空のボーイング737 “TAŞ TEPELER”. 機首に名前が描かれている.

前置きが長くなりましたが,3/16から一週間ほどトルコのアナトリア考古学研究所に滞在し,カマン・カレホユック遺跡の周辺とエスキ・アジュギョル(干上がった湖)で陸上掘削を行って採取した堆積物コアと,アナトリア考古学研究所が発掘を行っている三つの遺跡(カマン・カレホユック,ヤッス・ホユック,ビュクリュカレ)から出土した資料から,年代決定をするための試料の採取をしてきました.

過去5万年前までの年代決定には,放射性炭素(14C)年代測定という手法が一般的に用いられています.14C年代測定のためには,分析に必要な炭素の量を含んだ炭化物や植物片を拾い集める必要があります.堆積物コア中には非常に小さな炭化物や植物片しか含まれていないので,顕微鏡を覗きながらピンセットを使って試料を集ました.集めた試料は,トルコ国内の分析機関に送付して年代測定をお願いすることになっており,早ければ夏頃に14C年代の分析結果が出てくる予定です.

例年であればアナトリア考古学研究所に3月に滞在する研究者はおらず,宿舎等は閉まっています.今回は滞在に合わせて少し早めに宿舎を開けていただきました.

通常3月のカマンは非常に過ごしやすい気候らしいのですが,今回の滞在期間中は寒い日が続き,3月下旬には珍しく雪が降りました.日本に戻った翌週には最高気温が20℃以上まで上がり,本来の過ごしやすい気候に戻ったようです.

雪の降るアナトリア考古学研究所

食事も発掘期間中と同じようにトルコ人のコックの方が作ってくれます.朝食は野菜,チーズ,卵料理,オリーブ,スープ,ヨーグルトが基本です.トルコ料理ではパンが主食ですが,ピラフも付け合わせとして食事に出てくることが多いです.写真にはないですが,果物の値段が日本に比べて非常に安く,今回はみかんやオレンジ,リンゴ,バナナ,イチゴが,夏にはメロンやスイカ,ぶどうなどが出てきます.

アナトリア考古学研究所で飼っている「パシャ」君.
下は研究所に来て2週間目の頃(2022年9月上旬撮影).
アナトリア考古学研究所での食事.右下の人参のスープが特に美味しかった.

アナトリア考古学研究所で飼っている「パシャ」とも昨年の夏の調査以来,半年ぶりに会えました.研究所にやってきたときは片手で持てるくらい小さかったのに,一年半でこれだけ大きく成長しました.満足する前に撫でるのをやめると体を押し付けてきて離してくれません.

(鈴木健太)